2012年5月16日水曜日

激動の日々

もし、今日弊社のオフィスにお越しになられたら、ひどい散らかり様を目にするでしょう。本当にひどいです。過去の書籍や販促物が山積みにされ、PCの部品とたくさんの箱が散らばっています。一般的に言えば、とても自慢げに話せる内容ではありませんが、私はこれを誇りに思っています。なぜなら、ついに今週末、新しいオフィスへ移転するからです。引っ越しは大変です。しかし同時に、広くてより良い環境になることは嬉しいイベントです。

新しいオフィスは現在のオフィスから徒歩10分くらい(女性には15分程度かかるかもしれません...)の場所ですが、赤坂見附駅から徒歩2分のビルで交通の便が非常に良くなります。そして一番重要なのは、広さです。現在のオフィスの約2倍の広さになります。より広いスペースがあるということは、よりたくさんの機会があるということです。より多くの社員を雇うことも、より多くの人にトレーニングを提供することも、より多くの会議を同時に行うことも可能です。


また、見た目もカッコいいです。個人的に建物がバウハウス的なシームレスでエレガントなデザインで気に入っていますが、それだけではなく、私たちは建築家にツールを提供している会社として、良い建築へ感謝の気持ちを持つべきだと考えています。これはGRAPHISOFTの伝統でもあります。ブダペストの本社もまた、いくつか建築の賞を受賞した素晴らしい建築の建物です。

インテリアに関しては、それ程高くないパーティションで、できるだけオープンな空間となるようにしました。オープンな空間により、意思の疎通が円滑になり、コミュニケーションやチームワークが促進されると思います。皆さんご存じの通り、「Teamwork™」はGRAPHISOFTにとって重要なものです。そして、ついに私の古いMacintosh SE30がエントランスに展示されることになり、大変嬉しく思っています。ここから日本のGRAPHISOFTの歴史が始まったのです…ただし、一つ問題もあります。大阪営業所のメンバーの顔を見ると、大阪のオフィスについてもどうにかしなくては、と思ってしまいます。しかし、それについては来年以降となるでしょう。
そしてもちろん、この拡大はお客様の皆様からの長年に及ぶ継続的な信頼とサポートなしには実現することはできませんでした。新しいオフィスで多くの方々とお会いできればと思います。

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弊社の新しい住所は以下の通りです。
〒107-0052 東京都港区赤坂3-2-12 赤坂ノアビル4階

2012年5月1日火曜日

ボトムアップ、トップダウン

ArchiCAD BIMガイドラインの第二部がスタートします。基本設計をターゲットとした第一部を先月にリリースし、今回は実施設計編を作成しました。これまでにユーザーの皆様から受け取ったフィードバックは非常に肯定的であり、改めてBIMのノウハウをまとめ、広げるというプロジェクトを継続していくことを決意しました。

しかし、BIMガイドラインについて多くの方々から同じ質問を頂きました。それは、「なぜドア、窓、カーテンウォール等のBIMオブジェクトがテンプレートに入っていないのか」ということでした。1つの回答は非常に単純なものです。ArchiCADは1,300以上のパラメトリックオブジェクトがデフォルトで用意されており、また、VIPservice会員用には、ダウンロードが可能な多くのオブジェクトを提供しております。しかし、もっと根本的な、いくつかあるBIMソフトとの成り立ちの違いを説明する必要があります。それは、いくつかのBIMソフトは元々機械製品の設計向けに開発されたものであり、ArchiCADは建築設計用にゼロから開発されたものだからです。この重要性を理解し、機械と建築この2つの異なる設計プロセスを考える必要があります。

機械設計の大半は大量生産のためのものであり、ほとんどのコンポーネントが標準化されている場合にのみ有効です。エンジニアは、まずコンポーネントを集める(または必要に応じて設計する)ことから始めなくてはなりません。そのプロセスを踏まなければ大きいユニットを組み立てることはできません。CADに関して言えば、最初に「マスタデータ」を作成しなければ設計を開始できない、ということを意味します。これは「ボトムアップ」プロセスと呼ばれるものです。このコンポーネント、オブジェクトを設定するのは面倒な作業ですが、機械工学の元々の流れに反しているわけではなく、さほど大きな問題ではありません。

建築も大量生産に向かう兆しはありますが、間違いなく、車や船などのレベルに達することはありません。クライアントの広く異なる要件や、様々な現場はそれぞれの特異性を有するため、設計者は固有の製品を作らなくてはなりません。メーカーによるコンポーネントの利用は広がる一方、建物の最も重要な部分、壁、屋根、構造などの骨組は依然としてカスタム設計されることとなります。そして、この骨組みが他の要素を決定するため、設計は当然ここから開始する必要があります。これは、まず意思決定のスタートが「建物の全体的なデザイン」からなされる明らかな「トップダウン」プロセスであり、その後、少しずつ詳細に落とし込まれていきます。その結果、プロセスが使用可能なコンポーネントによる制約を回避し、設計者はより自由を担うことができます。

BIMソフトが機械設計に起因している場合、「ボトムアップ」プロセスを促進する傾向があることは当然だと思います。この場合、設計作業を開始するときは事前に部品が整理され、並べられているということが必須となります。ただし、問題は、この時点で設計者はどの部品を使うべきなのか、確定していないことです。もし、設計者がBIMソフトを直接使わず、オペレーターに指示する立場であれば、問題は比較的小さいかもしれません。しかし、そもそもBIMはオペレーターにではなく、設計者に使われるべきであり、これは設計者だけがコントロールできるものだと思います。

ユーザーの皆様からはよく、ArchiCADは競合するBIMソフトより簡単に使える、と仰って頂けます。(私自身、これを誇りに思っています) その理由は、作業に取り掛かる前に面倒な部品作製などのセットアップ・プロセスを強いられることなく、直接デザインの作業を楽しむことができるからであると思います。ArchiCADは、最初から建築設計プロセスが「トップダウン」であるという事実を踏まえて開発されたうえ、これが、設計者の望むものをコントロールする唯一の方法なのです。その結果、ArchiCADでは最初からテンプレートの一部として多数のBIMコンポーネントライブラリを持つ必要はなく、後から必要に応じて、自由にGDLライブラリの変更や追加、ツールでカスタムオブジェクトを作成することができます。また、レーヤー設定など、さまざまな環境設定や属性についても同様です。

ArchiCADは「建築家のために建築家によってデザインされた」製品です(以前の製品スローガンとして使われた言葉のひとつ"Designed by Architects for Architects")。 これで少し理由をおわかり頂けるとよいのですが...

2012年1月30日月曜日

BIMの3本柱

時々BIMについて、特にBIMのメリットについて1分以内で簡単に話さなければならないという機会があります。この長さはアメリカのビジネスシーンで「エレベーターピッチ」と表現されます。エレベーターに乗るだけの時間枠で何か話をするということです。 

私の「エレベーターピッチ」では、短いケースでも必ずBIMモデルについて3つのメリットを話します。それはビジュアルコミュニケーション、ドキュメント調整、そして積算です。これを「BIMの三本柱」と呼ぶことにしています。もちろんBIMにはその他にも様々な重要な側面がありますので、不公平であることを認めざるを得ませんが、エレベーターに乗っている時間は非常に限られています。

ビジュアルコミュニケーションは「プレゼンテーション」とされることが多いのですが、これはそれ以上のものです。設計の合意形成を加速させ、設計プロセス、さらには施行段階に起こりうる様々な行き違いを未然に防ぐことが可能になります。ドキュメントの調整は設計変更や現場での調整にかかる多大なコストの削減が可能になります。正確な積算およびプロジェクトのコストコントロールは発注者が夢に見てきたものです。

私たちグラフィソフトおよび他のBIMベンダーも同様に、1番目のビジュアルコミュニケーションについては非常に長けています。2番目のドキュメント調整は徐々に改善されています。しかし、3つ目の積算についてはまだまだ弱い分野だと思います。一番難しい課題でもあります。積算をするためには非常に正確なBIMモデルを作成する必要があり、これには大変な労力を要します。さらには、国ごとにルールが大きく異なるため、世界中で展開しているBIMシステムに組み込むことは難しいのです。この解決策として、OPEN BIMのコンセプトが存在します。グローバルに展開しているBIMアプリケーションと各国の積算ソフトが連携するということです。

こういった理由から、昨年秋に日積サーベイ様からヘリオスという積算ソフトとArchiCADのデータ連携ついて、多くのArchiCADユーザーの方々からの要望を受け、開発の話を聞いたときは非常に嬉しく思いました。同社は積算の分野において40年以上もの実績を持ち、この連携によって日本の標準に沿った積算が可能となり、また同時に積算ソフトでモデルを作成するという最も労力のかかるプロセスをArchiCADから提供することができます。さらに重要なポイントは、BIMのデータを使用した数量計算は設計変更が発生する度に積算情報も最新のものに更新されていくということです。これは、設計者および発注者が設計が確定するまで数量計算を待つ必要がないことを意味し、初期段階でも迅速なコストのフィードバックを得ることができます。そして、コスト分析が間違った方向に進んでいる場合に、その段階で設計を変更することが可能になります。



"3本あれば、対象物は安定する"と物理のクラスで学びました。先週の日積サーベイ様とのプレスリリースは、BIMデータを使用した本格的なコストコントロールの提供とBIMのさらなる成熟を表しました。

ArchiCAD - ヘリオスの連携およびグラフィソフトジャパンと日積サーベイのプレスリリースについての詳細はこちら

2012年1月20日金曜日

うさぎ、龍、そしてシャンパン

また新しい一年を迎えました。昨年2011年は日本にとって様々な意味で特別な年でした。やはり未曾有の困難をもたらした災害が思い浮かびますが、その一方で、困難に打ち勝つ為、国全体が協力し、素晴らしい力強さと思いやりを示しました。昨年の漢字として「絆」が選ばれたことには大変感動しました。素晴らしい選出だったと思います。 

年明けは穏やかな日が続き、私たちの将来について考える時間ができました。また、昨年一年間を包括し、方向性をより明確にしていきました。昨年の苦難や、ユーザーの方々も含め、被災された方々のことを考えると「素晴らしい年だった」と言うことは適切ではないかもしれませんが、グラフィソフトジャパンとしての昨年は非常に成功をした年でした。昨年初めのキックオフミーティングでは、社員に向けて「うさぎ年はジャンプする年です」と伝えました。結果、見事に実現することができました。目標を超え、グラフィソフトジャパンの過去最高の業績を達成する数字となりました。さらに、ArchiCADの売上げは2年連続50%増を超える結果となりました。この結果を持って、驚くことではありませんが、グラフィソフトジャパンは2年連続でGRAPHISOFTワールドワイドの支社およびパートナーの中で最高の成長率となりました。(もちろん他国も成長しております)この重要性は、社内で表彰されるということだけではなく、GRAPHISOFT全体においてグラフィソフトジャパンの売上のシェアを伸ばすことで開発チームからますます注目を得ています。この注目度の高さが、日本独自の機能要件を高い優先順位で考慮することにつながり、結果的にユーザーの皆様に利益をもたらすことができると確信しています。 
ArchiCADライセンス売り上げの成長
しかし、あくまで昨年は昨年です。新年の期待は高まる一方で、白紙のページから始めなくてはならないことがビジネスの難しさです。成長する機会は皆平等に持っていますが、そのためには改善が必要です。数字の成長と共に、昨年末にはプロダクトマーケティング部に新たなメンバーを2名採用しました。さらに今年も採用することを予定しています。会社の規模も徐々に大きくなり、オフィスを移動する必要性も出てきました。しかし、人数の増加は成功自体を保障するものではありません。より賢く働く必要があります。昨年書いた通り、重要なポイントはBIMのノウハウのプログラムを作成し、それが継続的に学習ができるようにすることです。これが達成できれば、中小企業でも簡単にBIMを導入することができます。また同時に、開発チームの継続的なイノベーションにももちろん期待しています。今年もお客様を喜ばせてくれると信じています。

 通常、社内のキックオフミーティングでは、4半期の"MVP"を発表しています。今回は出荷部門のマネージャーである靭さんが年末の受注フローを見事に遂行し、選出されました。また、今回は初めて"年間MVP"の選出も行われ、各マネージャーの推薦により、プロダクトスペシャリスト、上野幸恵さんを選びました。彼女の熱心かつきめ細やかなカスタマーサポートなしには昨年のような結果は決して達成する事ができませんでした。 

このような結果でしたので、上等なシャンパンで祝っても良いのではと思いました。Facebookでご覧になった方もいらっしゃるかと思いますが、これがキックオフミーティングの写真です。このシャンパンでキックオフミーティングを終了しました。その後、続いて新年会となりましたが、その写真は公開しないほうが良さそうです...

しかし、この新年会が行われたのは先週で、今週からは社内でも既にフルスピードでエンジンがかかっています。この投稿は少し遅れてしまったものです。時間が経つのはあっという間です。2012年の龍年もすぐに過去となってしまうでしょう。来年も今年のような楽しい新年会ができるよう願っています。

2011年12月20日火曜日

ArchiCAD BIMテンプレート

ある建築家はBIMに胸が弾み、ソフトを購入しました。オフィスが数週間で革新的になると信じてトレーニングに参加し、パイロットプロジェクトを開始し、3Dから全てを提供できるようすることを願っていました。しかし、締め切りが近づくとリスクを感じ、ある一定の段階で慣れ親しんだ2D CADシステムに切り替えます。次こそは、と考え練習を続けますが... 

しかし1年後、彼のBIMソフトウェアの利用はプレゼンテーション時に使用するためのモデリングのみでした。図面は未だに以前のように2Dで作成され、スマートな解析や自動積算などを使用する様子は見られませんでした。彼は結局のところBIMは大げさに騒がれているだけだと感じました。「BIMはまだまだだよ!」と知り合いにこっそり話していました。

こんな話を聞いたことがありませんか? 私はあります。そして、この問題は私たちの競合他社だけでなく、弊社に対しての問題でもあると認めざるを得ません。(しかしArchiCADユーザーは比較的少ないと信じています)しかし、これは本当でしょうか?BIMは実用的な利用には時期尚早でしょうか?私の短い答えはノーです。しかし、 なぜそのように考える結果となったのか、より深く考える必要があります。また、いくつかBIMの成功した事例が存在している一方で、なぜ未だにそれほど多くの失敗が起こりうるのでしょうか?

まずは勇気を出して飛び込めているかどうかです。ハンガリーでは「足が届く浅瀬では歩くことに頼ってしまい、泳げるようにならない」と言います。 同様にいつまでも2Dシステムに頼っていては未知のソフトで試行錯誤することを簡単に諦めてしまい、2Dに戻り、図面を仕上げて早く家に帰ってしまいます。これでは新しい技術を身につけることはできません。深い水に飛び込んで泳がなくてはなりません。AIDEA社の話を思い出してください。たった3ヶ月で2Dを完全に削除したのです。その当時BIMは現在よりも格段に未熟でしたが、非常にタフな数週間後にはBIMシステムに自信を持ち、2度と元に戻ることをしませんでした。

2つ目は、過剰な期待です。BIMは3Dで素晴らしいプレゼン資料を作れるでしょうか? それは確実でしょう。モデルから完璧な設計図書を作成することは? もちろんです。モデルから正確な積算を作成することは? それももちろんです。日影計算、環境解析やファシリティマネージメントは? これらは全て実際に日本および世界中で活用されています。しかし、「これら全てが同じモデルでできますか?」また、特に「2、3ヶ月のトレーニングでできますか?」というように聞かれれば答えはノーです。 しかし、設計図書の整合性だけでも非常に革新的なことです。私のアドバイスは、焦らず目標を設定し、一つずつ確実に、ということです。そして結果を楽しみましょう。 
(以前の投稿 ArchiCADの正しい使い方? 参照)

3つ目はBIMのノウハウの取得の難しさです。現状では比較的小規模の企業より大規模の企業(ゼネコンや組織設計事務所)がBIMの実施を成功させている例が多く見られるでしょう。これは組織の規模が大きければ、失敗は許されないということも理由の一つだと思いますが、それ以上に、BIMを成功させるためにはBIMのワークフローを確立し、BIMのノウハウを構築することが重要だという点です。大規模なゼネコンや組織設計事務所はBIMの推進グループを立ち上げ、ノウハウを作ることができます。しかし小規模の企業にはこれを行うリソースがありません。それを実行するには週に数時間余分な時間が必要かもしれません。この点に関してBIMのメーカーは胸が詰まる思いです。私たちはユーザーの皆さんにもっとノウハウを提供すべきです。ありがたいことに、このノウハウはお客様によって作られたもので既に存在しているので、一から作り上げるのではなく、この知識を収集し、組み合わせ、わかりやすい形にドキュメント化する必要があります。

これを私たちが2012年、次に取り組まなくてはならないタスクとして私のチームに伝えました。これを「ArchiCAD BIMテンプレート」と呼んでいます。十分に準備されたBIMデータセットでリアルな3Dモデルを機能させることを可能にしたいと思います。これは現在進行中のプロジェクトで、また、BIMの技術が急速に発展している為、継続的に取り組まなくてはなりません。しかし、来年の春頃には第一段階の形として、BIMへの移行の難点を緩和するものをお見せできると思います。 

お客様、パートナーの皆様、このブログを読んで頂いている皆様が素敵なクリスマス、新年を過ごされるよう、心よりお祈りしております。

2011年11月22日火曜日

アルゴリズミックBIM


先日、イタリアの建築協会「CASARTARC」が主催するAAST インターナショナルワークショップの懇親会に参加させて頂く機会がありました。GRAPHISOFTとしてこのイベントに協賛しており、プレゼンをするよう依頼されていました。しかし、プレゼンをするのは懇親会の会場でしたので、どちらかと言えばお酒の席という雰囲気でした。こういったパーティでスピーチをするような状況で気をつけなければならないことは「簡潔に」ということでしょう。

ですので、もともと用意していたスピーチをやめ、短い挨拶と、弊社GRAPHISOFTの事業について少し述べるだけに留めました。しかし、折角用意したスピーチを無駄にしてしまうのも、もったいないので、ここに書くことにします。

以下、スピーチの内容です。

「建築家」は物事をコントロールすることが好きであるということは事実だと思います。私たちが想像することを形作ることだけではなく、それをクライアントのニーズや法令に基づき建築図書を作成します。このためには、材質や空間や形状をコントロールしなくてはなりません。従来、そのコントロールの方法は図面でした。それも膨大な図面でした。2D CADの導入はこういった意味では革新的だったとは言えません。同じ図面をコンピューターによって、より効率的に生成するというだけです。 
しかし、コンピューターはただ図面を電子化するためだけに使うより、はるかにパワフルなマシンです。建物データを直接コントロールするコンピューターソフトは80年代に既にニーズがありました。それは「バーチャルビルディング」や、「シングルビルディングモデル」のような言葉で表わされていました。現在では「BIM」や「アルゴリズミックデザイン」という概念になっていますが、基本概念は本質的には同じものです。3Dモデルを通して、建物データを直接コントロールすることです。しかし、「アルゴリズミックデザイン」と「BIM」ではフォーカスされる点が少し異なります。 
アルゴリズミックデザインの注目されるべき点は設計初期段階に建築家が考案するアルゴリズムによって建築形状がパラメトリックにコントロールすることが目的とされていることです。ライノセラスのグラスホッパーといったツールは、ユーザーが高度な数学的知識を持たずともグラフィカルにそのような建築形状を造り出すことができます。BIMの範囲はより広いものです。基本設計の枠に留まらず、建物のライフサイクル全体に及びます。さらに、BIMは設計だけに使われるものではなく、調整や様々なタイプの解析、そして当然今でも重要な2D図面の生成(少なくとも当分の間、必要となるでしょう)に使用されます。 
二つの目的が相反することなく共存することは想像に容易いです。私は将来的に「アルゴリズミックデザイン」と「BIM」が共に発展していくと考えています。BIMはアルゴリズミックデザインの生成物を包括的に受け入れます。そして、デザインにおいてポピュラーになりつつあるアルゴリズミックなアプローチはプロセス全体にわたって活用できるでしょう。 
私たちGRAPHISOFTはこれをゼロから始めるわけではありません。ArchiCADはユーザーがBIMデータのオブジェクトをパラメトリックにコントロールすることができます。しかし、この機能はすべてのオブジェクトで実装されているわけではなく、また、そのユーザーインターフェースは初心者には若干難易度が高いものです。しかし、その気になれば今でもGDLスクリプトを用いて驚くほど様々なことを、BIMデータをアルゴリズミックにコントロールすることができます。 
現在また将来のユーザーにとっても喜ばしいことは、BIMかアルゴリズミックデザインのどちらかを選ぶ必要はないということです。これら2つは1つになるものなのです。

2011年9月29日木曜日

かつてVBEと呼ばれたアプリケーション


ついに秘密が解禁されました!様々なゴシップや噂が飛び交い、長期間に及ぶ開発を経て、ついにVirtual Building ExplorerのiPad版がリリースされました!そして今回、この製品は新しい名前となり、BIM explorer略して「BIMx」となりました。


リリース直後から世界中でかなりの勢いでダウンロードされ、1日で1600のダウンロードとなりました。グラフィソフトジャパンもこの勢いに乗り、おかげさまで多くのダウンロードを獲得できました。アップル社のルールでは、リリース前のベータ版は100のみコピーすることが許されており、従って当然ながら優先順位としてそのコピーは開発者やベータテスターに​​与えられることとなりました。その結果、先週水曜日までグラフィソフトジャパンはBIMxのアプリを1つだけしか保有しておらず、そのアプリが入ったiPadでしかお客様に見せることができませんでした。弊社のスタッフのほとんどがiPadまたはiPhoneを持っているので、スタッフはリリース直後に一斉にダウンロードし、BIMx迷路にトライしました。勤務時間中にゲームをプレイするという、普段はあまりない機会でしたが、新製品をチェックする義務として行いました。



これは、VBEの新しいプラットフォームであるということだけではなく、より広く一般にBIMデータを浸透する重要なステップです。現在、BIMのコンセプトは建築家や建設関連の関係者の間で知られていますが、グラフィソフトとして私たちは、その他様々な人々がBIMデータを使用することになると信じています。現実に私たちは皆、建物と何かしらの形で関連しています。自分の家に住んでいて、土地を維持したり、単純に建物に入ることも含まれます。ですので、BIM情報により利益を得るということは多くの人に関係しています。例えば、まだ変更が可能な設計初期段階で未来の建物を体験したいと考えるクライアント、壁のどこに特定のパイプが通っているかを確認したいと考える設備管理者、またはセキュリティシステムに盲点がないかを確認したいと考えるセキュリティ会社など、まだまだあります。


Appleの革新的なデバイスによる、タブレットコンピューティングの革命は私たちにもチャンスをもたらしました。VBEをiPad/iPhoneに移植することにより、建設の専門家とその他大勢のギャップを埋めることができます。モバイル性や手頃な価格といった面もありますが、タブレットコンピューターの刺激的な魅力によるものが大きいでしょう。実際に人々はクールなものが好きで、便利なだけではなく魅力的な製品に惹かれるのです。そしてBIMxはこのニーズにかなりマッチしているのではないかと思います。


しかし、私たちは優れたビューワーの提供だけには留まりません。BIMxはさらに多くの可能性を秘めています。例えば、新居を購入しようと思っている人が、妻へiPadで新しい家のデザインを見せたら、彼女は壁の色を批判するかもしれません。これを建築家へメールで説明するよりも、iPadのアプリ上の3Dに直接メモを書いて、画面をタップしてデザイナーに送り返す方がずっと楽でわかりやすいです。または建物内の水漏れを修理する担当者が別の問題に気づいた場合、スマートフォンで写真を撮り、BIMモデルで適切な場所にそれを添付し、社内の人に送れば、すぐに必要な人を派遣することができます。まだまだ考えられますが、今のところBIMxはBIM Serverからモバイルデバイスへという1方向でのコミュニケーションのみに対応しています。 しかし、双方向のデータフローも十分に可能です。つまり、メモ、注釈、画像等の情報を直接BIMサーバーに送信するということです。近いうちにBIMxがプレゼンテーションツールからコミュニケーションプラットフォームに進化することになると考えています。


しかし、これは少し先のことになると考えていますので、それまでの間、このBIMx for iPad/iPhoneをお楽しみください!


BIMx for iPad/iPhoneはこちらから無料でダウンロードすることができます。