2010年6月25日金曜日

日本, おめでとう!

これはBIMのブログで、建築、ソフトウェア、その他専門的なことを扱っていますので、相応しくないかもしれませんが、ワールドカップにおける日本の素晴らしい勝利について喜びを隠せません。素晴らしいプレイでした!この勢いに乗れば、いいところまで行けるでしょう。行けると信じています!











勝利を祝うために、簡単なツイッターゲームを行うことにしました。参加いただければ ArchiCAD Solo が賞品ですので、ぜひ GraphiOsaka ツイッターサイトをご覧下さい!

日本、頑張って!

2010年6月23日水曜日

ハイブリッド車とBIMテクノロジー

最近次の様な会話をする事が多くなっています。「それにしても、なぜグラフィソフト社は図面に対して積極的なのですか?図面は紙を使用していた古い時代の遺産で、過ぎ去っていく傾向にあり、コンピューターテクノロジーが成長しても刷新されない2D作図ソフトウェアによって寿命がほんの少し延長されているだけではないでしょうか?今は、BIMの時代であり、過ぎ去りつつある2D作図の世界は古い世代のCADソフトウェアに任せて、3Dモデルに集中するべきです!」

確かに、3Dモデルがデザイン意図のコミュニケーションの中で直接利用されている事例がどんどん増えています。コンサルタントとの擦り合わせ会議、建設現場での複雑な細部、施主プレゼンテーションなどで、BIMソフトウェアを使用している建築家が印刷した図面の必要がないと感じる事も多くなっています。その代わりに3Dモデルを直接使用して、アイディアについて説明や検討もしています。そもそも、図面はコミュニケーションの手段であり、それ自体は目的ではなく、重要なのは建物です。建築図面は、建設過程において他の全ての参加者が建築家のアイディアを確実に伝えるために発明されたものです。他のものがこの役割を満たす事ができれば、図面はなくなるはずです。

けれども、そこまで実現しているでしょうか?あるいは、論理的に近づいているでしょうか?「もはや図面と呼ばれる古い考え方のものは気にしないで、輝かしい図面のないペーパーレスな未来に集中しましょう!図面が必要なら、古い2D CADを使用してください」と大胆に言えるでしょうか?一部の競合製品はこのソリューションに傾倒しているようですが、弊社はそのようには考えていません。その理由をご説明する前に、他の業界について少し考えてみましょう。

まず、個人的にハイブリッド車テクノロジーに関する論議は不思議であると思っていました。結局のところ、全ての人がこれは解決策でないと知っており、ゆくゆくは自動車を実際にクリーンで完全に電気に切り替える必要があります。このテクノロジーは非常に進んでおり、一部は商業利用に準備が整っています。なぜ自動車業界は何千億円も投資して、恐ろしく複雑で高価で、色々な意味で実際的でなく、数年後には間違いなく過去のものとなるハイブリッドテクノロジーを搭載した新しい自動車クラスを作成するのでしょうか?この投資は本当のソリューションの開発に費やすべきではないでしょうか?内燃機関エンジンのような100年続く様な技術です。

しかし、技術開発が直線的である事はほとんどありません。自動車産業でも他の産業でも、パラダイムの変化は難しいと言われており、その主な理由は機械(あるいはソフトウェア)の難しさではなく、その周囲のインフラです。電気自動車の場合、バッテリーの取り替えや充電できる「電気スタンド」がなかったり、事故や故障の場合に修理するために十分整えられた修理工場がない、そして成熟したビジネス環境、細かい点で新しいテクノロジーをサポートする準備の出来ている企業がないと言った事が上げられます。ドライバーの「心と思い」も同様に準備ができていません。ガソリンの匂い、旧式の車の低い回転音に愛着を感じ、電気エンジンの未来的な音に直感的に嫌悪感を抱き、実体のない電気に頼る事を恐れるのです。ですから、ハイブリッド車は新しい時代への完璧な布石なのです。電気エンジンへの依存は徐々に大きくなり、ガソリンスタンドでもバッテリーの充電が可能になり、アクセサリーやサービスを提供する会社も増え、電気エンジンの鋭い音への違和感が無くなるような布石がなければ、パラダイムシフトは決して起きないでしょう。

BIMについても同じ様な現象が起きてきます。図面ベースの社会を完全に置き換える可能性を秘めたテクノロジーは既に存在しています。しかし、その周辺環境は、ほど遠い状態です。

そのひとつは、技術的な環境です。ポータブルコンピューターは建設現場で大規模なモデルを処理できるほど高速になり(会社でのスピードにもまだまだ満足していません)、ネットワークも大量のデータを転送できる速度になり、重要な点として、そして認めなければならない点として、BIM開発会社もソフトウェアの調整を行わなければその日はこないでしょう。

もうひとつは、「意識」の欠如は最も重要かもしれません。建築家がディスク上の3Dモデルを現場に持ってきて「これが作りたい」と言えるようになるまでには、大量の学習、思考の劇的な変化が必要でしょう。ただし、私が一番の障害と思っているのは、施主、建築家、コンサルタント、施工会社間のビジネス取引の基礎となっている法的な環境です。参加者間で責任を細分化しているこの環境は、数百年かけて進化してきており、間違いなく2次元図面に基づいています。全体的に受け入れられ、法的に拘束力があり、検査可能で、信頼性の高いデータ形式は何でしょうか?2Dの紙上図面と同じように簡単に読め、保存でき、確認できるものは何でしょうか?これを定義することは、想像以上に難しく、時間がかかり、重要な点として、段階的なプロセスです。

ですから、私の予測として図面はもうしばらく残り、今後、目にする変化は3Dの世界に勇気を持って飛び込むというよりは、ハイブリッド車の様な流れになるでしょう。3Dモデルの使用は徐々に増加していくでしょう。そして、古き良き「音のでる」2D図面と平行して進んでいくでしょう。ただし、同時に、2Dの詳細、断面の切り出し、一覧表の作成を徐々に減らし、同等の3Dの「ライブ切り出し」などデータを効率よく使用する必要があります。同時に、BIMモデルのおかげで、モデルから直接生成され不整合もおのずと削減されるので、図面の品質も比べ物にならないほど向上するでしょう。しかし、現状を直視し、認める必要があります。未来はもう来ているのです。

まさに「ハイブリッドBIMテクノロジー」と言ってもいいでしょうか?