2013年12月18日水曜日

日本の品質を世界へ

最近、ジャーナリストの方から面白い質問を受けました。「なぜGRAPHISOFTはそれ程までに、日本の要件を満たすことに労力を費やすのか」という質問です。年々、日本のお客様の要望を基に機能が追加されることが増え、ついには、大げさでもなく、ArchiCAD 17は日本の要求を基に作られたバージョンとなりました(ブダペストの開発者の間では、実際に「ジャパニーズバージョン」と呼ばれていました)。

その一つの答えは、まず日本に巨大な市場があるからです。BIMは通常、高学歴人口と高価な労働力を持つ国で発展する傾向にあり、日本はこのどちらも満たしています。また、保護されたビジネス環境ではないこともまた重要です。競争は公平であり、ソフトウェアのパフォーマンスとサービスのレベルのみが重要視されていると言えるでしょう。さらに、BIMはその性質上、設計施工プロセスにおいて、最もメリットが出やすいものです。そして、このメソッドが最も先進的かつ広く普及しているのも日本なのです。

これらすべては、GRAPHISOFTにとって日本が魅力的な市場である理由ですが、もう一つ面白い理由があります。私たちの経験で言われているのが、「日本なら間違いない」ということです。これはどういう意味でしょうか。

日本の建築のプロセス(ここでは、数十年にわたって発展してきた2Dのことを指します)は、非常に洗練されたものです。いくつかの側面は、確かに今のデジタル時代にそぐわないものもあり、変わるべきですが、私の考えでは、その多くは今後も残っていくと思いますし、さらに進化するべきだと思います。この日本の2D建築プロセスの高い精度と完璧な実施によって、日本の要求事項は世界で最も困難とされています。しかし、私たちにとってはむしろ逆です。もし、私たちがそれを満たすことができれば、その機能を世界中で適用しても上手くいくということです。日本にとって十分なものが出来上がれば、世界中どこでも問題ないと言えるでしょう。ちなみに、他の国で十分でも、日本では上手くいかないということも多く学びました...

その結果、日本の要求に基づいて開発したいくつかの機能が、他の国で受け入れられてきたという事実があります。すでに、私から「通り芯」のエピソードを聞いたことがあるかもしれませんが、これはもともと、日本語バージョンのためだけのものでしたが、やがて他のArchiCAD言語バージョンにも搭載され、後に世界中で使われるようになりました。アメリカのユーザーが、ArchiCADのグリッドツールを使用する際には、実際に古い日本の方式を採用しているのです...!

もちろん、ArchiCAD 17で搭載された機能は、日本のためだけに開発されたものではありません。私たちが行ったのは、BIMの非常にコアな部分を強化し、問題を解決したことです。これによって、より簡単に詳細なドキュメントの作成が可能になり、より正確な数量計算が行えるようになりました。これは、例えばアメリカやドイツ、その他の国のArchiCADユーザーが、2Dのアウトプットの際に問題を抱えていないということではなく、どちらかと言えば、詳細な問題には目をつぶり、他の事に重点を置いているのです。しかし、最新のお客様のアンケートでは、実際にArchiCAD 17で大幅に生産性が向上したという事実が示されています。当初のArchiCAD 17の評判(それほど新しい機能がないのでは)は、徐々に興奮へと変わってきました。最高のアップグレードだという声も多いです。第一印象よりも、品質やその他様々なことを実感しての結果だと思います。

今回が今年最後の投稿です。とてもエキサイティングな年でしたし、成功した年だと言えるでしょう。成功の一つの側面は、ブダペストと日本の同僚の努力によるものですが、さらに大きいのは、私たちの技術を信じて頂いている、お客様やパートナーの皆様に、さらに努力する機会を頂いたことによるものです。この場を借りて、心からお礼を申し上げます。そして、来年はさらに努力し、飛躍することを誓います。
Merry Xmas and Happy New Year!

今年も熊手を飾りました!

2013年12月4日水曜日

ある不思議な出会い

私がPechaKuchaNightを愛する理由は数多くありますが、その中でも、新しい人に出会えるということが一番です。毎回、必ず新しく面白い人に出会うのです。先月も例外ではありませんでした。しかし非常に驚いたのは、出会ったのが私たちの競合にあたる企業のエグゼクティブだったのです。共通の面識がある建築家の友人が、「彼がベンツェで、同じく日本のBIMの普及に忙しい人ですよ」と紹介してくれました。交流の場でしたので、名刺を取り出してビジネスライクに自己紹介をするよりも、握手をしながら名前を言いました。そのときに、冗談めかして「私は、ある競争他社で働いているんですよ」と言いました。すると、彼は「へぇ、競合会社があったんですね」と返しました。

ビジネスとして考えれば、市場にたった一社でいることはその会社にとって多くのメリットがあります。誰でも、競合することなく、日々クライアントからの要求を満たそうと奮起することなく、楽にビジネスすることを夢見ることがあるでしょう。市場を独占するということは、好きなように価格を設定できるということで、利益の多くを再び開発費に回す必要もなく、それほど努力せずに心地よく成長を楽しむことができるということです。

しかし、本当でしょうか?私はそう思いません。かつてGRAPHISOFTの創設者であるBojár氏から学んだことがあります。それは、競合することは良いことだということです。私たち自身をより強く、向上させ、毎日努力し続けなければならないということによって、お客様により良い製品が提供できるようになる、と。結局のところ、ビジネスはただ単に何かを買うためにお金を稼ぐためだけではなく、誇りに思えるものを作り上げることではないでしょうか。

私がその大物の人物に言いたかったのは、「そんな状況を変えようと必死なのですよ」ということでした。その後は、東京がいかに素晴らしい都市になったか、そして、もっと頻繁に来日するべきだったというようなことを好意的におしゃべりしました。次回に会うときは、より詳しい情報が知らされているのは間違いないでしょう...