2015年12月17日木曜日

Why ARCHICAD Loves Rhino?

BIMはいつもハイエンドのデザイン事務所から、柔軟性がなさすぎる、芸術的な自由を制限するものだ、などとして苦い顔をされてきました。結果として、これらの事務所は既に洗練され、確立されたこれまでの業務プロセスにこだわることとなり、Rhinocerosのような自由なデザインを可能とする3Dモデラーを使いつつ、ドキュメンテーションは完全に2Dで行っています(時に3Dモデルを使用することはありますが)。この方法では、設計の自由度が最大限に広がる一方で、BIMがもたらす利益を得る機会は失われ、かつ彼らが非常に必要としているであろう建築物全体の統合された情報の管理や、数量やその他の情報をBIMモデルから取り出せる可能性、またドキュメンテーションの半自動化などのメリットも得ることができません。

この問題を解決するために明確なことは、このような設計事務所の要望に沿うように、BIMソフトウェアをもっと柔軟なものにすることです。しかし、言うのは簡単ですが、実際に行うのは容易ではありません。Rhinocerosの開発元であるMcNeel社のように一つのことに集中している会社(今回の場合は3Dモデリングです)は常に、私たちのような3D、2Dやさまざまなプロパティなどに同時に気を配らなければならないBIMベンダーよりもよい仕事をします。ですので、各企業はそれぞれが一番得意とする分野で力を発揮するのが論理的です。GRAPHISOFTにおいては、NURBSをBIMモデルへ正確に変換し2D、3Dで適切に表現することに着目していく必要がありますが、複雑な形状の編集においてはRhinoが主要なアプリケーションである方がよいと考えています。もちろんARCHICADでのモデリングを今後改善していかないということではありません。ただ、専門性の高い、軽いアプリケーションは特定の分野においてはBIMオーサリングツールよりも優れている、という認識をもっています。ARCHICADがフル装備のトレッカーだとしたらRhinoはトレイルランナーのようなものです。トレイルランナーはより速く移動することができますが、トレッカーはトレイルランナーではたどり着けない場所へも行くことができます。ARCHICADは大量のメタデータを持つ、非常に大きく複雑なモデルも管理することができ、これは単なる3Dモデルではできないことです。




しかし、RhinoのデータをARCHICADにスムーズに変換できるだけでは十分ではありません。例えばスタジアムの屋根のような複雑な部分のみをRhinoで作業し、スタジアムの残りの部分のような、そこまで困難ではない部分はARCHICADで直接モデリングするというのは一般的な方法です。このようなケースでは屋根のデザイナーは設計をするために建物の他の部分を知る必要があります。Rhinoの中のARCHICADモデルがそうです。これを実現するには、互いの情報が行き来できる必要があり、2つのソフトウェアの洗練された参照機能をベースとしたワークフローを実現していく必要があります。ですので、Rhino-ARCHICADのワークフローは単純な「サインオフ」の方法(図1)ではなく、実際のデザイン作業中に並行して使用されるもの(図2)となっています。




そして、多くの人がRhinoを使用する主な理由となっているのがGrasshopperです。ご存知ではない方のために説明すると、GrasshopperはRhinoのコントロールパネルのようなもので、グラフィックインターフェイスを使用して簡単にパラメトリックなスクリプトを作成することができるものです。結果として、パラメータ主導のデザイン(しばしばアルゴリズミック、またはジェネラティブデザインと呼ばれます)を行うことができ、その特性として一方向ではなく双方向にやり取りし、かつ徐々に形を作っていくことができます。私たちは、この機能をARCHICADにも取り入れて、アルゴリズミックな編集の効果が瞬時にARCHICADで反映されるようにしたいと考えていました。これはもう単なるデータのエクスポートではなく、3つのアプリケーションによる真の連携と言えるでしょう。なかなか言葉での説明では伝わらないかと思いますので、一目でわかるビデオをご紹介します。GrasshopperがRhinoをコントロールするのと同じように、ARCHICADをコントロールする方法を説明しています。




実際には、Grasshopperコネクションの重要性はRhinoユーザー向けにとどまるものではありません。ほとんどの建築家がNURBSや有機的な形状を使用して設計することを夢見ているからです。実際にはほとんどの建築物の場合はこのような洗練された設計を実現する予算がなく、ARCHICAD単体でも簡単にモデリングすることができます。しかしこれらの建築物であっても、迅速にさまざまなデザインの選択肢を検討できること(例えばファサードのデザインなど)や、平面図の最適化、細部のデザインなどでGrasshopperのアルゴリズムデザインを活用して、作業を効率化することができます。この場合、Rhinoはデータの輸送者であり(スクリーンに表示する必要はなく、バックグラウンドで起動させておけばよいため)、ユーザーはGrasshopperから直接ARCHICADを操作する感覚で使用できます(図3)。


実はRhino-Grasshopper-ARCHICADコネクションのコンセプトは日建設計様とのパートナーシップの成果の一つです。このプロジェクトの推進を後押ししてくださったことを本当に感謝しております。お約束しました通り、パートナーシップで得られた成果をすべてのユーザーの皆様にも共有いたします。パブリックベータ版はすでにリリースされていますが(英語のみとなりますが、こちらからアクセスできます)、来年の前半には正式版をリリース予定です。もちろん日本語版もです!しかし開発はまだまだ続けていきます。さらなる改善を続けますので、弊社ブダペストのチームにご期待ください。

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クリスマスと新年が近づいてきました。東京の街も綺麗にライトアップされています。昨日東京ミッドタウンを訪れた際、このショートビデオを撮りました。 このビデオとともに、すべてのお客様、パートナーの皆様、そしてこのブログをご覧になっている皆様に、メリークリスマスをお祈りします! そしてよいお年をお迎えください!