とあるプレゼンテーションの後、弊社のCEOに電話をしました。「プレゼンはどうだった?」と聞きくと、「申し分なし」との事。「今夜はグラフィソフトの人間であることを本当に誇りに感じたよ」と答えが返ってました。思った通りの答えでした。ただし、何事も実際に起こるまでは安心できません。マラソン選手は一番先頭を走っていても、ゴールでテープを切って初めて喜びを実感できるのと同じ心境です。
この話は今から5年半前に始まりました。2004年3月に発表されたLFRT (Large Firm Round Table)、米国の大手設計事務所70社からなるAIA主催の専門グループ)によるCAD/BIMベンダー当て公開文書では、モデルベースコラボレーションの基本条件が選定され、このシステムの導入が各社に要請されていました。驚く事に、この条件はその数週間前の社内会議で決定された弊社の考える方向性と非常によく似ていました。この公開文書はモデルベースコラボレーションの重要性を裏付けるものとなりました。この文書の公開前は計画の実行時期についてためらいがありましたが、すぐに実行に移す必要がある事に疑問の余地がなくなったのです。
しかし、この機能を搭載するには、まずArchiCADのコアプログラムを全体的に書き直す必要がありました。大規模な開発となる事が予想できました。ある意味で心臓手術のようなものでした。最初の段階では2、3人の開発者が通常のリリース計画とは別個に割り当てられ、数億に及ぶArchiCADのラインコードの奥深いところまでコーディング作業を進めていました。案の定、計画よりも作業量は拡大し延期され、新しいチームワーク機能は常に「次のバージョンの後で」と後回しされていました。私が2006年に退社したときには、この機能は実現しないだろうとさえ感じていました。退社後も元同僚とは連絡を取り合っていましたが、昨年「次のバージョンで」新しいチームワーク機能を発表すると聞いたときにはとても嬉しく思いました。このようなわけで、日本での復職について話合うため今年3月にグラフィソフト社を訪れた際、せっかくの機会ですからチームワーク機能のプレビューを見せてもらいました。
そして驚かされました。公開文書に書かれていた「全ての」要望が現実にかなえられていたのです!これは2004年に想像していたものを遥かに超えていました。もちろん、グラフィソフト社への復職への士気が高まったのは言うまでもありません。現在にいたるまで、チームワーク機能について積極的な意見が日本を含めた各国のユーザーから寄せられていています。しかし、旅路は家に帰るまで終わりません。今年6月には、LFRTが2004年に要求したシステムを弊社が開発したことを伝える公式文書を送りました。その回答として、業界関係者で「BIMベンダーの日」を設定しBIMの主要プロバイダーを招待するので、各社のチームコラボレーション戦略をプレゼンして欲しい、との要望が返ってきました。LFTRは特定のベンダーに影響される事を懸念していたので、各社が戦略プレゼンを行えるようにグラフィソフト社の他にベントレー社、ゲーリーテクノロジーズ社、オートデスクも社を招待しました。
先週、米国セイント・ルイスで、弊社のビクター・バルコニー社長自身が50名以上のCIOに対して2時間ほどの発表を行いました。その中で、弊社の戦略の焦点は「建築」であり、エンジニアリングソリューションの「主要製品」との連携、IFCをベースとした「オープン・システム」であることの重要性、業務連携におけるArchiCADの価値、およびIPD (Integrated Project Delivery)に関する方針について説明し、その全てとチームワーク2(TW2)の関連性について説明しました。その後、TW2の実際のデモが円滑に行われ、それに続いて質問が投げかけられましたが、特に多かったのは「いつ実際に試すことができますか」というものでした。
もちろんこのプレゼンテーションは機密保持のもとに行われましたので、他社のプレゼンテーションに対する公式な見解はありません。しかし、イベントに参加した弊社マーケティングディレクターのアーコシュ・フェメテール氏から聞くところによれば「今日の主役」が誰であったかは明らかであったようです。これで、チームワーク機能が業界の「流れを変える」と確信できる十分な根拠となったのです。
もちろん、旅はまだ始まったばかりです。あと数週間すれば日本のお客様も新しいチームワーク機能の可能性や操作性をお試しいただくことができるでしょう。Get ready!
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