10月に私はグラフィソフト社が開催する日本とヨーロッパの大手ユーザーに向けた会議の為、ハンガリーに戻っていました(もう少し早く書けばよかったのですが、この時期は予算編成に加えて、このようなイベントがたくさんあり、非常に忙しかったのです)。ブダペストに到着した最初の2日間、まず、私たちは現地企業を訪問し、CEOから将来展開の話を聞き、グラフィソフトのソフトウェア開発者から直接、新技術の発表を聞き、そして、開発者とのラウンドテーブルディスカッションを開催しました。このディスカッションは、ユーザー同士、お互いに話し合う場という形にしました。参加者の皆さんも、このイベントの最も価値のある部分であったと感じているのではないでしょうか。
私にとって、このディスカッションで2つ、注目すべき結論がありました。まず、数年前まで顕著だった日本におけるBIM技術の遅れは、もはや見受けられなくなったということです。日本の参加者が使用しているソリューションはヨーロッパと比べて見劣りすることはなく、両者はお互いに多くのことを学んだのではないかと思います。しかし、これは日本での大手ゼネコンや大規模な建築事務所を例にした話であることを忘れてはいけません。小規模および中規模の企業の格差は依然として残っているように思えます。これらの企業のBIMへの意識や実運用は、米国、特にヨーロッパと比べると、大きな差が否めません。ヨーロッパの小規模な設計事務所はBIM利用が進んでおり、大手設計事務所に対しても十分競争力があり、小規模であるという欠点を意識しているため、技術力で勝っている場合さえあります。しかしながら、日本の多くの事務所はBIMを扱うことをせず、「大企業向けの話」という考えを持っているように思えます。このような考え方では、仕事を獲得する可能性(すなわち、経営継続の可能性)が競争激化する中では低くなる、ということに気付いていません。しかし、悪いことばかりではありません。私は大企業の内の少なくとも一部が、「技術」のガラパゴスから抜け出していることを嬉しく思っています。また、間違いなく多くの企業がこれに続くと思います。
ただし、ヨーロッパが明らかに先に進んでいる分野があります。私が以前主張したように、BIMの進歩は単に技術の進歩に依存しているだけなく、周辺環境である法律や商業体制を整備することが重要です。このような体制が整備されず、建設における関係者の情報交換が従来の印刷された図面の交換に限定されている限り、BIMは2D図面を作成するためだけの情報となり、その進歩が遅れてしまいます。しかし、3D BIM情報が本来の形で情報伝達に利用されるようになれば、導入が大幅に高速化されます。私はこの変更が徐々に行なわれると予想しており、初期の段階でBIMデータは従来の2D図面を補完する情報として添付され(私が「ハイブリッドBIM」と呼んでいるものです)、徐々にデータ交換の主要な役割を果たすでしょう。当然のことながら、BIMデータがこのような役割を果たすようになれば、新しいデータ形態、役割、所有権、使用方法を盛り込んだものとして契約書を書き換える必要があるでしょう。これは決して簡単な作業ではありません。建設プロセスの基本構造の変化であり、業界を根本的に変えてしまうものです。ヨーロッパではすでにこの論争が起きていますが、まだ明確な結論があるとは言えません。時に矛盾するような様々な手法があり、BIMデータを含む標準的な契約書の数も増加しています。この変化が勝者と敗者を産むことになると思いますが、より積極的にプロセスに影響を及ぼそうとするものが勝者となるであろうことは言うまでもないでしょう。私は日本の建設事業の関係者は、BIM導入におけるこうした側面も力を入れる必要があると考えています。日本が「法律」のガラパゴスに陥らないためにも。。。
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