2014年12月4日木曜日

BIMの民主化

私たち建築家や建設産業の専門家は、BIMと言うとつい私たちだけのものと考えがちです。
BIMが持つ膨大で複雑なデータを管理、作成するのも私たちだけができると思ってしまいます。これは現時点では確かにそうなのかもしれません。何かをコントロールする時には、それに関する深い理解力と、自らがとる行動がどのような結果になるかを完全に把握しておく必要があります。

一方で、BIMデータの恩恵を受けられる人々というのは広範囲におよびます。建設作業者、施設管理者、ビルのオーナーなど…。彼らに対して私たちは可視化や整合性のとれた図面、精度の高い計算結果などを提供しています。2Dでの方法に比べると、BIMで出力した図面はより正確かつ最新に保たれますが、それだけではBIMを十分に活用しているとは言えません。私たちGRAPHISOFTBIMデータそのものを活用していただけると信じています。これはお客様にとって非常に大きなメリットがあることです。

想像してみてください。もし施設管理者がタブレットにBIMデータを持っていれば、GPS座標を使用して壁の向こうにあるパイプや機械を見つけることができます。また、建設作業者が現場の写真を撮ってBIMデータと合わせることで作業の正確さを確認することができます。
ではこれはどうでしょう。建物のオーナーが2D3Dのデータでオフィスビルのセキュリティシステムを管理することができれば、建物の隅が見過ごされることも、誰かが中に残ることもありません(ええ、ハリウッドでは既に実現していることですが、現実ではまだですよね)。さらに想像力を膨らませてみましょう。買い物をするためショッピングセンターへ入ると、シンプルな3Dと間取り図のデータをダウンロードすることができます。これでさまざまな店舗が立ち並ぶ迷宮を、正確かつ最新の情報をもとに進むことができ、駐車スペースから欲しい商品まで、簡単に見つけることができます。私はこれを本当の革命と呼びたいと思います。BIMの民主化とも言えるでしょう。一部のエリート専門家のみが使用していたデータが、すべての人に利益をもたらすものになるのです。

施工現場におけるiPadの利用(大林組様事例より)

もちろん、BIMデータはよりリッチで複雑なものになってきているので、その活用のためにすべての人にArchiCADのように専門的なオーサリングツールを学んでもらうというのは現実的ではありません。しかし実際には学んでもらう必要はないのです。なぜなら彼らが興味があるのは特定の部分のみで、BIMデータ全体ではありません。しかも、そのために学んだり投資をしたりせず、迅速かつシームレスに管理したいことでしょう。

私たちにとって、これがBIMx Docshttp://www.graphisoft.co.jp/bimx/)を開発する動機になりました。1年前のリリース以降、建築家はもちろんのこと、専門家ではない方々からも人気を得ています。"BIMの民主化"において、BIMx Docsはまだはじめの一歩の段階ですが、重要な突破口となりました。コンパクトで軽く、3Dにハイパーリンクされた2Dデータが、持ち運び可能なデバイスで簡単に利用できます。先日、竹中工務店様(http://www.takenaka.co.jp/)が、大林組様(http://www.obayashi.co.jp/)に続き、スーパーゼネコンとしては2番目にBIMx Docsを導入されました。他社様も続かれることを確信しています。

BIMデータアクセスは当社にとって、第3の重要な製品ラインになってきています

当然のことながら、私たちが思い描く明るい未来には、まだまだ長い道のりが続きますが、
GRAPHISOFTは今後もBIMの民主化を推し進めながら開発を続け、より多くの皆さんに最適化されたBIMデータへのアクセスを提供していくことを決意しています。



なぜなら民主化は良いことだからです。

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