2011年4月28日木曜日

OPEN BIM Ecosystem(エコシステム)

エコシステム(生態系)とは何でしょう?ウィキペディアには以下のように定義されています。
「ある一定の区域に存在する生物と、それを取り巻く非生物的環境をまとめ、ある程度閉じた一つの系と見なすとき、これを生態系と呼ぶ。生態系は生態学的な単位として相互作用する動的で複雑な総体である。」
例えば、熱帯雨林のジャングルでは、大きな木が小さな植物や無数の鳥、哺乳類、昆虫に場所を与えます。それぞれが生態的な地位を確立し、それぞれがバランスを維持し、生態系全体の長期的および継続的な生存に不可欠な存在となっています。
しかし、エコシステムは自然界だけの話ではありません。ビジネスの世界においても、優れたエコシステムを確立している良い例がたくさん存在します。例えば、全ての自動車メーカーはそれぞれが独自のエコシステムを持っています。組立部品を生産する協力業者、製品を販売する代理店、整備業者、そして、車に個性と快適さを加える自動車用品を生産している多くの企業が存在します。高級車は大抵、カスタマイズ用の部品生産に特化した関連会社があります。例えばメルセデス・ベンツ社にはAMGBRABUSブランドがあり、BMW社のように専用のドライビングスクールを用意している会社もあります。

このような「ビジネスエコシステム」で、最近の良い例がApple社のiPhone/iPadの関連商品です。iPhone/iPad合わせて40万以上のアプリがApp Storeに存在し、ケース、キーボード、スピーカー等のアクセサリーも数えきれないほど存在します。しかし、非常に厳しい規制があり、明らかに単一の「捕食動物」が支配していると言えるでしょう。恐らくそれがGoogle社のオープンなAndroidシステムに急速に追い越されている理由かもしれません。一般的にエコシステムは、強者が高圧的にならず、「生き、生かしめよ」という原則が浸透している場合にのみ成功するということは間違いないでしょう。もし大きな魚が全ての小さな魚を食べつくしてしまったら、ある日、大きな魚は空腹で周りに誰もいないことに気づくでしょう。これが失敗のもとです。
私たちグラフィソフト社は、弊社のビジネスはこのようなエコシステムを持たずして成功する筈はないと信じています。それぞれの成功したビジネスを運営する何百、あるいは何千もの企業のお客様と結びついて成り立っています。それでは、ArchiCAD、言い換えるなら「OPEN BIM Ecosystem(エコシステム)」はどのようになっているのでしょう?

1つの重要な点として、トレーニングと導入支援があります。これは比較的一般的なビジネスモデルですが、多くのユーザーからの需要に答えるべく、トレーニング、導入支援、BIMオペレーターの手配などの心強いサービスを提供します。このような会社は当然ながらArchiCADの周辺に存在し、ArchiCADユーザーが世界中で増えていくのと比例して増え続けています。
次に、コンテンツです。設計者は、最初から建物のすべての詳細を設計するのではなく、多くはメーカーが販売している既製の部品を使用します。当然ですが設計者は、BIMモデルで作成された部品が​​簡単に入手できることを期待しています。その結果、多くのメーカーがこれに関するビジネスモデルの可能性を認識し始めています。インテリジェントなBIMオブジェクトを使用することで、設計者は既成のドアやエレベーターを利用でき、製品をより深く理解し、製品自体の競争力も高めることとなります。幸いなことに、ArchiCADGDLオブジェクト形式は、小容量でパラメトリックな性質を持った簡単なスクリプト言語であり、この目的に最適です。世界中では30,000以上のメーカー仕様のGDLオブジェクトが存在し、さらにこれらのオブジェクトはパラメトリックであるため、そのほとんどが1つのオブジェクトで何十、何百もの個々の製品バリエーションに対応できます。
グラフィソフトのエコシステム次の分野は、BIMのモデル上で機能する様々なアドオンソフトウェアです。先週私は、今回はドイツのベルリンで開催となったグラフィソフト社の年に一度のインターナショナルパートナーカンファレンスに参加してきました。この会には、世界中から外部の開発パートナーも集まります。そして今回初となる、日本からも開発パートナーが参加され、製品発表が行われました。ArchiCADの機能を向上させるシンプルなアドオンから、生活産業研究所株式会社様のADS-BT for ArchiCADおよびPAL for ArchiCAD、リック株式会社様のLandscape Pack for ArchiCAD(約4,000点のオブジェクトを収録)、BIMデータ上で動作する本格的なファシリティマネージメントシステムであるvintoCON社のArchiFMのような複雑なものまで、ArchiCADBIMデータを革新的な方法で利用した革新的なソリューションが数多く存在し、その数と品質は成長し続けており、非常に印象的でした。

そしてもちろん、OPEN BIM Ecosystem(エコシステムArchiCADのアドオンソフトウェア以外にも、様々なスタンドアロンアプリケーションがあります。私は日本の設備CADは、世界中で最先端の技術であると信じています。どのアプリケーションが最も重要であるかということを議論するのはあまり意味がありませんが、CAD We’llTfasおよびRebroCADEWAのようなアプリケーションは、ユーザーのデータ交換を可能にし、双方のBIMモデルを簡単かつ直感的に参照するという弊社と同じ目的を持っています。OPEN BIM Ecosystem(エコシステムでは、Tekla Structuresのような構造BIMソフトウェアにも同様のことが言えます。さらには、Revit StructureRevit MEPにも簡単に適合されます。これらのソフトにはIFCのインターフェースが適用されており、BIMのデータ交換はIFCが事実上の標準になりつつあります。
全体的にグラフィソフトのエコシステムは成長過程にありますが、目覚ましい発展をしています。成熟した本物のジャングルのようになるには時間がかかりますが、エコシステムの住民の成長に必要な環境はすでに揃いました。もちろん、森林伐採はしたくありません

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