Asia-Pacific Key Client Conference 6月2日-6月4日 東京
アジアにおいてGRAPHISOFTのKCC (Key Client Conference) を開催するのは初めてのことです。その開催地が東京でなければ、他にどこがあるというのでしょうか?私たちはもちろん東京を選択し、先週、KCCは東京湾を見渡すお台場のホテル日航東京で開催されました。
すべての人が「素晴らしいイベントだった」と語っていましたが、それはどういう意味で素晴らしかったのでしょうか?何が「素晴らしい」イベントを作ったのでしょうか?私はこう思います。
まず、何よりも、人々、参加者の皆さんです。それは参加者の数ではありません。予定していた通り、100名を超えるゲストにお越しいただき、およそ半数は日本からのゲストで、海外からのゲストはアジア太平洋地域からがほとんどでしたが、アメリカ、スウェーデン、UAEからも参加いただきました。そして多くのパートナー、出展社の皆様、そしてもちろんGRAPHISOFTの社員も参加しました。重要なことは、参加者の質の高さです。すべての方が日本、そしてそれぞれの地域の最先端の企業からの参加者で、BIM開発の最前線に立っている方々でした。
第二に、まぎれもなく非常に高いプレゼンテーションのレベルです。よくカンファレンスで見られる「ありもの」のプレゼンテーションを持ってくるスピーカーは一人もいませんでした。すべての方が最新のエキサイティングな(内容もビジュアルも)プレゼンテーションを披露する努力をしてくださいました。大変感謝しています。
第三に、雰囲気ではないでしょうか…。GRAPHISOFTのカンファレンスは、正直で、生真面目な戦略の話題等を提供しながらも、リラックスした、フレンドリーな雰囲気でよく知られています。これはブダペストにおいてのカンファレンスでも大切にしている精神であり、今回の日本においてもうまく「輸入」することができたと思います。しかし、最も重要なことは、お客様と話をして、耳を傾ける時間が充分にあったことです。これが一番重要なことだと思います。私たちの製品についてお話ししたいのはもちろんですが、「お客様の話を聞く」ということをしなければ意味がありません。
それでは、カンファレンスについて短くまとめてみたいと思います。
カンファレンス初日、私の日本とアジアにおける短いレポートの後に、私たちのCEO、Viktor Várkonyiの基調講演がありました。GRAPHISOFTにおける革新の精神の重要性を強調し、最新の発明について説明しました。「予測的バックグラウンド処理」と呼ばれるもので、CPUのアイドル時間を3Dパフォーマンスの向上に利用する技術です。
次に、出展社の皆様に短い5分から10分のプレゼンテーションを行っていただきました。9社に出展いただき、日本からだけではなく、ノルウェーのような遠く離れた国からも参加いただきました。
昼食後は、マーケティング担当副社長のAkos Pfemeterと彼のチームより、次期バージョンのARCHICAD 19 とBIMcloudの最新の改善点が発表されました。この秋には楽しみなことがたくさんあります!
初日最後のプレゼンテーションは、私たちのお客様に行っていただきました。この日は建設会社の方々に登壇いただき、日本から2社、そして韓国より1社に発表していただきました。まず、鹿島建設の矢島様にお話しいただきました。多くのゼネコンが最初に設計、その後施工という流れをとる中で、鹿島建設は投資から最大のリターンを得られるであろう、施工の現場へと直接BIMを導入するアプローチを発表していただきました。今日では、国際的なコラボレーションネットワークによって、約340箇所の建設現場でBIMがなんらかの形で使用されています。これは確かにユニークな成果です!
次に、大林組の宮川様からは、GRAPHISOFTにとって最も重要なインスピレーションであり、パートナーとしてご協力いただきましたBIMcloudの誕生と、並行して進められたBIM導入についてお話しいただきました。特に興味深かったのは、社内の教育システムとBIMxの導入です(ご存知かもしれませんが、大林組では5,000以上のiPadにBIMx Proが実装されています)。またこれだけ多くの(2,000人)の建設現場に携わる人がBIMを使うことが非常に有効的であると学びました。
韓国のPOSCO E&Cからは、Mr. Dae-Youn Keumにお話しいただきました。パフォーマンスの問題がいかにBIMの導入をこれまで妨げてきたか、そして同社がARCHICADを導入してからどうやって進化してきたかを説明いただきました。さらにいくつかのBIMを使用したユニークな建築物を紹介いただきました。
プレゼンテーション終了後は、3名の方にパネルディスカッションにもご参加いただきました。
カンファレンス2日目は、2人の会長の基調講演で始まりました。GRAPHISOFTのBojar Gabor と、buildingSMARTのMr. Patrick MacLeamyです。まるで事前に話し合ったかのように(実際には打ち合わせしていません)2人のプレゼンテーションは完全に調和したものでした。
GRAPHISOFTの創立者、会長に3つの情報革命について語って頂きました。まずは、スピーチについてです。約40,000年前、これによって人類は情報を伝達することを可能にしました。2つ目は、文字です。これで情報を保存することができるようになりました。そしてIT革命です。これにより情報の加工、検索が容易に、そして効率的に扱うことができるようになり、BIMはここで不可欠かつ、重要な役割を果たしているのです。
Mr. MacLeamyはこの部分をピックアップし、いかに彼が設計を実践するうえで(彼は米国の大規模設計事務所HOKのCEOでもあります)、建設産業における断片化の性質を変更する必要性を実感したか、そして彼が発案者であるbuildingSMARTという組織がどのように誕生したかを語ってくれました。最後に、「BIMのI」の重要性、つまりBIMモデルは基本的に情報のデータベースであり、3Dはそれを配置するための方法に過ぎないということを私たちに注意喚起しプレゼンテーションを結びました。
次に、ミニ政府会議のような時間です。シンガポールのBCA、香港のCICより政府職員をお招きし、各国の戦略についてお話しいただきました。特にシンガポールでは、政府はBIMについて先導するだけではなく、資金も用意し、推進していることが印象的でした。多くのファンドが企業の2DからBIMへの移行をサポートする体制があります。シンガポール政府はBIMが国家の将来的な競争力の礎になると強く信じているためです。もし時間があれば、日本の多くの関係者にもお聞きいただきたい内容でした。
最後の4つのプレゼンテーションは、設計事務所の方々に登壇いただきました。まず、中国の成都よりJZFZに登場いただき、印象的なイメージとその背後にあるプロセスについて紹介いただきました。他社と同じく、同社もまた、ARCHICADとRhinoを同時に使用しています。最近発表された新しいRhinoceros® - ARCHICAD コネクションは、彼らにとって非常に歓迎すべきニュースだったでしょう。
昼食のあとは、日建設計の山梨様にステージに登場いただきました。同社のさまざまなBIMモデルの利用方法を説明いただき、また、まもなくリリースされるGRAPHISOFTと日建設計の協力の成果について熱心にお話しされていました。山梨様にとって、「マス・プロダクションからマス・カスタマイゼーションへ」、「ジオメトリからアルゴリズムへ、フリーフォームからジェネレーティブフォームへ」の移行は重要なことであると語られていました。私たちはもちろんサポートしていきます!
そして、長年の友人であるフィリピンのJojo Talentinoにステージに上がってもらいました。AIDEA社がイノベーションを続けていること、勇敢にBIMの道を突き進んでいることは素晴らしいことでした。同社の最新のステップは、自社独自のGDLとアドオンの開発です。これによって、さらに積極的に同社の未来を形作ることができるのです。私たちは話をするたびに、彼らが非常に成功していると感じます。同社はどんどん大きく成長し、今200名以上の従業員が働いています。
最後に、現代の建築シーンで最もホットな役者がステージに上がりました。デンマークのBIG (Bjarke Ingels Group)は、同社の最新のデザイン、そしてARCHICADプラットフォームへ徐々に移行していく時の痛みと喜びを紹介してくれました。BIGのBIMマネージャーであるJakobは、設計者をなだめ、BIMへ移行させることは容易ではないが、一度BIMを使用すると、彼らは振り返ることはないと話しました。コペンハーゲンの、ドーナツ型の煙を吐き出す人工的なスキー場が完成した暁には、私は必ず訪問します!
プレゼンテーション終了後には、前日同様に聴衆から多数の質問がされた刺激的なパネルディスカッションが行われました。議論は、アルゴリズム設計の限界から、BIMモデルの所有権、設計者ではないコンサルタントとの協力までさまざまな話題に及びました。このような議論の司会をすることは容易ではありませんが、今回私は非常に楽しむことができました!
カンファレンス最後の夜は、いつものようにパーティです。今回は東京湾のクルーズを選択しました。天候は最高に私たちに協力的で、魅力的な東京の夜景とともに、見事な赤い月を楽しみました。パーティの終わりには、ご要望にお応えして、海外のゲストに「三本締め」を紹介しました。
このカンファレンスを称賛いただけたことはもちろんですが、私が最も誇りに思うことは、日本のお客様が成し遂げた成果を世界に向けて発表することができたことです。そして恥じることは何一つありませんでした!このイベントは、日本において、広い意味ではアジアにおいてもBIMが成熟していることを示しました。ご参加いただいたすべての皆様に再度感謝するとともに、来年ブダペストでお会いするのを楽しみにしています!
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