なぜ3Dなのか?楽しいから、でしょうか?確かに、3Dモデルの作成は楽しい作業でもあります。しかし、単に「楽しい」というだけの理由で3Dを利用している場合、建築設計者としてではなく、他の設計者や映画作成などCG製作が合っているでしょう(おそらくこのブログの読者ではない)。完成した3Dモデルを眺めるのは楽しいかもしれませんが、実際に3Dモデルを作成する作業はできるだけ簡単にしたいと思われていることでしょう。率直に言うと、設計者の多くは3Dモデル作成が面倒くさく、つまらない仕事と考えています。それでも3Dモデルを作成する理由は、3DモデルはBIMモデルとなり、BIMモデルは整合性の取れた設計図書、仕上げ表、数量、環境分析などに利用できるからです(ここではArchiCADの宣伝はやめておきましょう)。
この二つの側面、BIMモデルを作成する努力とその成果としての利益がバランス良く保たれないと、努力と利益が釣り合わないと感じ、結局、使い慣れている2D手法から抜け出せない事になります。これは「天秤」に似ていると言えます。努力と利益のバランスが取れている、または利益の側が重い事が望ましいのです。
もちろん、弊社は現状に満足することなく、ArchiCAD、そして「BIM天秤」のバランスをさらに向上させるよう開発を行っています。開発にあたっては、BIMモデルの作成を簡単にすることに多くの努力が注がれています(実際、要望の多くはこの分野です)。つまり片方の天秤皿(努力)から重りを減らすことです。しかし、バランスを改善するには他にも方法があります。それは右の天秤皿にもっと重りを足すことです!つまり、BIMモデルの利益を増やすことです。1990年代を思い出してみると、天秤のバランスは適切ではなかったと思います。整合性の取れた設計図書という利益はありましたが、モデルを作る努力が大きすぎました。BIM(当時は「バーチャルビルディング」と呼んでいた)は弊社製品の将来性を期待した数少ない先駆者の「ハイテクな趣味」でしかなかったのかもしれません。その後、BIMモデル作成をより簡単により速くするための改善に沢山の努力が費やされ、天秤のバランスも良くなってきたと言えます。
それでは、ArchiCAD 13の発表によりBIM天秤のバランスがどのように変わったのでしょうか。
- ArchiCAD 13の改善項目は、左の天秤皿から重りを減らす効果があります。「チームワーク2」は、BIMモデル作成を効率的にする大きな改善となり、64ビット対応は作業負荷を大幅に削減します。
- MEP Modellerは、設備データの作成を可能にし簡単に行えるだけではなく(左の天秤皿が軽くなる)、同時に分析ツールとしても機能します。また、干渉チェック機能を使えば建築/設備モデルを統合した利益が増えることになります(右の天秤皿が重くなる)。
- ECO Designerは、一般的な分析ツールです。多少の追加入力を行うだけで、すぐにその利益を実感できます。右の天秤皿がさらに重くなります。
- 新しいVBEも、明らかに利益の側にあり、BIMモデルを視覚的に確認できるようになります。今回の新しいVBEでは高価なビデオカードが必要なくなり、より多くのユーザーが利用できるようになります。
左の天秤皿から重りを減らす作業は主に弊社開発グループの仕事になりますが、右の天秤皿に重り足すことはパートナーの強力も借りています。協力会社が新しい分析ツールを開発することで利益の増大を助けていただいています。BIMデータを活用する例として、空気循環分析(「Flow Designer」や「WindPerfect」)、日影計算や天空率(「ADS」や再発売予定の「MicroShadow for ArchiCAD」)、ファシリティマネジメント(ArchiCADベースの「ArchiFM」が日本での発売を検討中)などが挙げられます。これはまさに「チームワーク」です。より多くの人が同じ作業を行うことにより、より早く完成するのです。
お分かりいただけたと思いますが、右側の天秤皿では様々なことが起きています。まだBIMモデル作成は難しいと感じておられるのであれば、BIMモデルを本当に十分活用しているか考える必要があるのかもしれません。
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