徐々に明らかになってきていることですが、BIMに関して根本的に異なる2つの考えが見受けられます。1つは独占的なソフトウェアシステムを促進するもので、もう1つは別々のメーカーが開発している多種のアプリケーションを連携しようとする動きです。前者の例はRevitシリーズにはっきり見られます。後者の例は弊社が「オープンBIM」と呼ぶもので、ArchiCADを中心に多種のソフトウェアを連携させるというのが一番良い例でしょう。
前者の独占的な手法の主張は、建築、構造、設備の分野を密接に統合させるにはこの3つのアプリケーションは同じメーカーで開発されるべきだという意見です。しかし注意して聞くと、この3つの分野は同じデータを共有しているわけではなく(実際データは参照されているだけ)、同じ独占的なファイル形式を共有しているだけということが分かります。全ての関係者が同じバージョンを使用していれば(コンサルタントと設計会社が同じ会社とは限りません)、少なくとも視覚的に似たようなソフトウェアの箱が棚に並んでいるので、このソリューションは完全に結合した印象を与えます。しかし、BIMはゲームのように3つの同色ポイントを集めれば、ライフやエキストラパワーが増えてレベルアップできるものでしょか。それとも、BIMはこのような曖昧な印象やマーケティングキャンペーンによって決めることのできないもっと複雑なものなのでしょうか。
オープンBIMについて論じる前に、認めなければいけない点もあります。それは異なる分野が円滑にまた簡単に連携するためには、共通のファイル形式が絶対に必要だという点です。
オープンBIMでどのようなことが実現できるか見てみましょう。
オープンBIMは高品質
まず最初にオープンBIMでは、個々の分野で最適なアプリケーションが選択できるようになります。以前このブログに書きましたが、建築、設備、また構造は同じ物、つまり建物を作っているわけですが、それぞれの分野は根本的に違います。弊社は建築の分野で20年の経験を持っていますが、世界各国で手法が全く異なり、設備や構造エンジニアリングではさらに異なる規定や基準があることを認識しています。ですから、それぞれの国、地域または業務の種類に合った最適なツールの使用を可能にし、結果として最高品質の建物を保証できるのは「オープンBIM」だけであると弊社は考えております。
オープンBIMは柔軟
よく言われることですが (しかも事実ですが)、各企業にはそれぞれ異なる独特なやり方があります。ですから、BIMを導入する正しい方法が「1つしかない」と考える理由があるでしょうか。BIMの導入に成功している数々の例を見てもそれぞれのやり方は異なります。
病院設計を専門とし、80以上のArchiCADを使用している米国カリフォルニア州の大手設計会社の例では、実施設計まではRevit Structure、その後は2DのAutoCADを使用している構造外注業者と作業を行いました。建築分野でArchiCADとRevitは競合しているわけですが、弊社が新しく開発したRevit用アドオンを使用して、IFC経由でArchiCADとRevit Structure間の連携が可能になりました。一方、設備外注業者はBIMソフトウェアを導入しておらず最後まで2DのAutoCADを使用しているので、ArchiCADの信頼性の高いDWG出力を利用しています。
別の例は、フィンランドの大手建設会社で、この会社では基本設計段階では全ての分野でArchiCADを利用し、後の段階で他のアプリケーションに切り替えます。構造設計はTekla Structures(Teklaはフィンランドで開発されている)、そして設備設計にはMagiCAD(スウェーデン製品)を使用しています。どちらの場合もデータ変換はIFCによって問題なく行われています。
日本の前田建設工業株式会社では、ArchiCADとTekla Structures、設備設計にはBE-Bridge経由でダイテック社のTf@sを使用しています。一方、国内の他の大手ゼネコンでは設備設計ツールとしてRebroが利用されており、BE-Bridge *経由でArchiCADと問題なく連携しています。
オープンBIMは安全
ハードウェアとソフトウェアは高価なものですが、それでもデータの価値に比べればほんのわずかです。特にBIMは莫大な量の情報を圧縮して保存できるので、BIMデータに関してこの点はより真実です。データのアーカイブ記録として、IFCのようなオープンで国際的に認められている非独占の形式を使用するなら、1つの会社のポリシー変更に影響される独占的な形式よりも安全といえます。IFCはオープンBIMシステム連携の核であり、その品質と信頼性を保証しているのです。結果として、データをIFC形式にすることで、将来的にいつでもバージョンに関係なく保存してアクセスできるのです。
最後に個人的なことですが、私はハンガリー出身で、共産主義時代の40年間は政党の選択、見る映画、使用する製品は決定されてきました。選択の自由を強く信じていることに疑問の余地はありません。
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*弊社は両メーカーとIFCを経由した連携を可能にするため現在共同開発を進めています。
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