間違いなくこの質問は、私たちがユーザーの方から最も頻繁に尋ねられる質問であり、また、非常に難しい問題でもあります。難しいというのは、場合によって異なるため正しい答えは数多く存在します。しかし、最適なモデリングの量はどのように導き出せばよいのでしょう?全てを一つずつ試す暇はないでしょう。
先月末に開催されたArchiCAD 16新製品発表会にて、ポルトガルのゼネコンであるMota-Engil社*のBIMディレクター、アントニオ・メイレイレス氏をゲストに迎えました。同社は2010年にBIMを始めたばかりですが、著しい発展を遂げています。非常に印象的だったのは同社のBIMモデリングが組織的で精密に計画されたアプローチで実施されており、結果的に失敗の可能性を限りなくゼロに近づけている、ということでした。まず目標を作成すること、つまり、BIMモデルを何に使いたいのかを明確にしなければならないということがBIMのビッグ・クエスチョンの一つの答えとして、Mota-Engil社のアプローチが示しています。
同社は3つの目標に分類しています。
1. マーケティング(プレゼンテーション/合意形成): デザインについてクライアントを説得する
2. 数量計算 : BIMモデルから正確な数量を抽出して積算をする
3. ドキュメンテーション : BIMモデルから施工図を切り出す
当然ながら非常に詳細なモデリングを必要とし、1,2を含みます。 それぞれのカテゴリにおいて対応するモデリングのレベルは、社内のBIM標準で設定されます。
続いて、全ての情報はマトリックスに整然と並べられます。この時点で私の同僚は恐らく「またベンツェさんのマトリックスが出た!」とあきれ半分になるでしょう。確かに私は必要以上にマトリックスを好む傾向にありますが、Mota-Engilの実施については、上記の目標を構造のタイプや場合によって細かく対応できるという点で、正しい答えを導き出しているのではないかと思います。これを「BIMモデルマトリックス」と呼ぶことにしました。
縦軸は施工プロセスの様々な段階です。基礎工事、1階躯体工事、内装工事等です。横軸は施工の様々なタイプが並びます。一つ目は内壁LGS、プラスターボード、仕上げ、建具等の意匠要素です。2つ目は柱、梁、スラブ等の構造要素です。そして3つ目は空調、冷暖房、配管、電気等のMEP要素です。フレームワークが完了すると、上記で挙げた3つのゴールを割り当てます(モデリングが必要ない場合、空欄のままにします)。アントニオ氏の部下がマトリックスを仕上げると、彼はマトリックスを確認し、管理します。例えば、1階部分の建築はレベル1になっているのに、3階部分の電気配線はレベル3になっている等、矛盾している箇所がないかを確認します。また、効率的でない箇所も探します。例えば、ある部分をレベル2でモデリングしても、数日後にレベル3で提出予定になっていれば、最初からレベル3でモデリングした方がシンプルで安価です。。このような問題全てを同僚やサブコンと十分話し合い、確認します。その後、モデリングの担当者は割り当てられたタスクに集中し、モデリングし過ぎず、しなさすぎず、必要十分な量を実施するよう作業を開始します。
もう一つ、シンプルですが、Mota-Engil社が採用している賢いアイデアがタイムログという考え方です。BIMのモデリング担当者は割り当てられた「BIMモデルマトリックス」のどのセルに何時間作業を費やしたかという記録を入力することを求められます。これにより、会社がBIMモデルのコストを正確に把握することができ、さらに、モデリングのそれぞれの段階やレベルにおいて平均でどのくらいのコスト/時間を要するか(例えば、オフィススペースの2階部分のモデリングには1平方メートルあたり平均○○円等)、貴重なデータを集めることができます。このデータはデータベースに保存され、新しいプロジェクトの見積もりを出す際、「BIMモデルマトリックス」と共に使用します。これにより、アントニオ氏は予算とタスクによって、BIMモデリングの精密な計画と最適化されたモデリングのレベルを算出することができます。結果として必要とされるBIMデータが作成されるかを確認し、また、複雑すぎるモデルを作成してしまうことによる過分な作業を避けることができます。
そして、これがタイトルの質問の答えです。詳細に設定されたゴールに対して必要十分な量をモデリングするということです。慎重な検討をせずに建物を建てることがないように、何を達成するかを検討せずにBIMでモデリングを始めるべきではありません。Mota-Engil社の方法はあらゆる規模の企業が簡単に採用できる方法だと思います。特別なツール等を必要とせず、必要なのはExcelと論理的な思考のみです。お試ししてはいかがでしょうか?
*Mota-Engil社は大手ゼネコンであり、主にヨーロッパ、アフリカ、ラテンアメリカ等の地域で活動をしています。2011年の年間売上高は約1,700億円となっています。詳細はMota-Engil社のHPへ(英語)
**この方法が非常に有効であると考えており、より詳細な情報を収集し、日本にどのように取り入れることができるかというアドバイスを含め、提供したいと考えております(ブログ上ではなく、グラフィソフトジャパンのWebサイトでホワイトペーパーの形で提供することを考えております)。
先月末に開催されたArchiCAD 16新製品発表会にて、ポルトガルのゼネコンであるMota-Engil社*のBIMディレクター、アントニオ・メイレイレス氏をゲストに迎えました。同社は2010年にBIMを始めたばかりですが、著しい発展を遂げています。非常に印象的だったのは同社のBIMモデリングが組織的で精密に計画されたアプローチで実施されており、結果的に失敗の可能性を限りなくゼロに近づけている、ということでした。まず目標を作成すること、つまり、BIMモデルを何に使いたいのかを明確にしなければならないということがBIMのビッグ・クエスチョンの一つの答えとして、Mota-Engil社のアプローチが示しています。
同社は3つの目標に分類しています。
1. マーケティング(プレゼンテーション/合意形成): デザインについてクライアントを説得する
2. 数量計算 : BIMモデルから正確な数量を抽出して積算をする
3. ドキュメンテーション : BIMモデルから施工図を切り出す
当然ながら非常に詳細なモデリングを必要とし、1,2を含みます。 それぞれのカテゴリにおいて対応するモデリングのレベルは、社内のBIM標準で設定されます。
続いて、全ての情報はマトリックスに整然と並べられます。この時点で私の同僚は恐らく「またベンツェさんのマトリックスが出た!」とあきれ半分になるでしょう。確かに私は必要以上にマトリックスを好む傾向にありますが、Mota-Engilの実施については、上記の目標を構造のタイプや場合によって細かく対応できるという点で、正しい答えを導き出しているのではないかと思います。これを「BIMモデルマトリックス」と呼ぶことにしました。
縦軸は施工プロセスの様々な段階です。基礎工事、1階躯体工事、内装工事等です。横軸は施工の様々なタイプが並びます。一つ目は内壁LGS、プラスターボード、仕上げ、建具等の意匠要素です。2つ目は柱、梁、スラブ等の構造要素です。そして3つ目は空調、冷暖房、配管、電気等のMEP要素です。フレームワークが完了すると、上記で挙げた3つのゴールを割り当てます(モデリングが必要ない場合、空欄のままにします)。アントニオ氏の部下がマトリックスを仕上げると、彼はマトリックスを確認し、管理します。例えば、1階部分の建築はレベル1になっているのに、3階部分の電気配線はレベル3になっている等、矛盾している箇所がないかを確認します。また、効率的でない箇所も探します。例えば、ある部分をレベル2でモデリングしても、数日後にレベル3で提出予定になっていれば、最初からレベル3でモデリングした方がシンプルで安価です。。このような問題全てを同僚やサブコンと十分話し合い、確認します。その後、モデリングの担当者は割り当てられたタスクに集中し、モデリングし過ぎず、しなさすぎず、必要十分な量を実施するよう作業を開始します。
もう一つ、シンプルですが、Mota-Engil社が採用している賢いアイデアがタイムログという考え方です。BIMのモデリング担当者は割り当てられた「BIMモデルマトリックス」のどのセルに何時間作業を費やしたかという記録を入力することを求められます。これにより、会社がBIMモデルのコストを正確に把握することができ、さらに、モデリングのそれぞれの段階やレベルにおいて平均でどのくらいのコスト/時間を要するか(例えば、オフィススペースの2階部分のモデリングには1平方メートルあたり平均○○円等)、貴重なデータを集めることができます。このデータはデータベースに保存され、新しいプロジェクトの見積もりを出す際、「BIMモデルマトリックス」と共に使用します。これにより、アントニオ氏は予算とタスクによって、BIMモデリングの精密な計画と最適化されたモデリングのレベルを算出することができます。結果として必要とされるBIMデータが作成されるかを確認し、また、複雑すぎるモデルを作成してしまうことによる過分な作業を避けることができます。
そして、これがタイトルの質問の答えです。詳細に設定されたゴールに対して必要十分な量をモデリングするということです。慎重な検討をせずに建物を建てることがないように、何を達成するかを検討せずにBIMでモデリングを始めるべきではありません。Mota-Engil社の方法はあらゆる規模の企業が簡単に採用できる方法だと思います。特別なツール等を必要とせず、必要なのはExcelと論理的な思考のみです。お試ししてはいかがでしょうか?
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*Mota-Engil社は大手ゼネコンであり、主にヨーロッパ、アフリカ、ラテンアメリカ等の地域で活動をしています。2011年の年間売上高は約1,700億円となっています。詳細はMota-Engil社のHPへ(英語)
**この方法が非常に有効であると考えており、より詳細な情報を収集し、日本にどのように取り入れることができるかというアドバイスを含め、提供したいと考えております(ブログ上ではなく、グラフィソフトジャパンのWebサイトでホワイトペーパーの形で提供することを考えております)。
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