「BIMで一番難しいことは何だと思いますか?」あるお客様が説明してくださいました。「何も図面を見せることができない状態で、問題なく全てが順調に進んでいるということを上司に納得してもらうことです。従来、図面は一枚ずつ徐々に完成するものであり、それに慣れていると、最後に図面が出来あがるというBIMプロセスが恐怖に思えるのです」
確かにその点において(他の多くの側面も同様)、BIMは2D CADと大きく異なります。2Dのプロセスは「直線的」、または「連続的」とも言えるでしょう。まず平面図から始め、断面図、立面図、その後、様々な一覧表や詳細へと進みます。結果として、作業を行ったものは目に見えるものとして、印刷可能なものであり、明らかな進捗状況として上司、同僚、最終的に自分自身で認識することができます。図面の半分が完成しているということは、作業の半分が完了しているという意味をそのまま表します。この点においてはBIMに対して、2Dプロセスの優位点であると言えるかもしれません(その他に多くあるわけではありません)。BIMの場合には、モデルや図面上で作業したものは、ある意味、裏で不思議と生成されているのです。モデルが完成すれば、図面も完成します。しかし、一枚ずつではなく、一度にまるで奇跡のように(少し単純すぎますが、大まかな考え方としてです)完成します。BIMにおけるポイントは、ここではなく、結果の「品質」が従来のプロセスに比べはるかに優れていることです。
この問題を改善するための一つの方法は、図面化に必要な情報を出来る限りフロントロードすることです。予め断面図や立面図の位置を決め(何も表示されない状態でも)、モデルから抽出する全てのドキュメントのレイアウトを作成し、出来る限り注釈を入れる、など。これにより、図面は進捗に応じて即座に表示されるようになり、適切な設定(図面枠、図面のタイトルや注釈)で自動的に線が生成され、早い段階からある程度正しい図面のように見えます。これはそれほど多大な作業ではなく、これを行うことにより、上司へ図面の「イメージ」を作ることもできます。
しかし、もっと重要なのは、単にこれに慣れなければならないということです。「Keep Calm and Carry On (落ち着いて平静を保つ)」とかつてイギリス人は言いました。これはBIMモデルを作成することは、実際のプロセスに非常に近いことを意味し、2Dプロセスはある意味で変わった抽象的な方法です。 現実では、マンションの建設現場に予算の50%が費やされれば、半分の住民が住むことができるわけではありません。 上司や同僚が進捗が見られないことに対し不平を言う場合、これは「まだわかっていない」というサインです。BIMのコンセプトのさらに十分な理解が必要です。これに対しては忍耐強くしなくてはなりません。BIMは一度理解すれば非常にシンプルでわかりやすいコンセプトです。2Dのパラダイムをもとに教育を受け、仕事をしてきた人たちにとっては簡単に受け入れられないかもしれません。BIMコンセプトの普及の一環と捉えて取り組んで頂ければ幸いです。
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